8回目となるアトリエmadoの対話による鑑賞会
@足利市立美術館 真島直子「地ごく楽」
2018年6月9日
参加者は、大人14人、子ども16人、計30人
足利市立美術館の学芸員の福島さんに真島直子展で鑑賞会、きっとおもしろいから〜とお誘いを受け
重い腰をあげて内覧会に行きました。
おお!これはすごい!これこそ、対話しがいがある展覧会。
しばらくお休みしていたmadoの鑑賞会、再開!即決!
今回もファシリテーターはARDA(NPO芸術資源機構)で研修を受け
また公共文化施設や、教育現場で鑑賞プログラムを開発、実施している強力助っ人。
おじゃさんこと白山祐子さん、ミミさんこと齊藤実雪さん、
また、初参加ながら熱心に研修を重ねておられるまっつんさんこと松嶋広晃さんにお願いしました。
まず、作品をよ〜く観よう。
そして、感じたこと、考えたことを話す。なんでかな?
正解も間違いもないこと。
グループの人が話したことをよ〜く聴く。
そして考えて、また観る。
そうやって、作品に向き合うことで深く味わえることを伝える。
大人2つ、子ども2つのグループに分かれてそれぞれにファシリテーターがつく。
初対面どうしのグループでも、感じたままに話せる空気を作るファシリテーター。(おじゃさん)
私は9,10歳の8人グループを担当しました。
1作品目の絵画、まず、じっくり観ているところ。○○みたいという意見から、少しずつ子どもどうしでストーリーが出てきた。
2作品目
「小鳥がいる、かわいい」「糸が血管みたい」「血管が上は赤いけど下は青いよ」
「下に行くほど冷えていってるんじゃないかな」
「あ、頭蓋骨のなかに何かある」
「針金みたいなものがいっぱい詰まってる」
「死んでないんじゃないか?」
「死後8年くらいな感じ」
「骨だけどいろんなものも残っている」
「痛くはなさそう」
「カラフルだけど寂しそう」
「この人怒ってるみたい」
「どこからそう思ったの?」
「だって、すごい目をむいているもの」
「この目は傷ついた自分を観てるんだと思う」
「上から下に、流れるようにぬれている、なんでだろう」 「川にいたのかな」
「手に持っているのは蛇だと思ったら骨だ!」
「背中のあばらと同じだもの」
「男かな?女かな?」
「う〜ん、はずかしい感じがする」
次々に言葉が出る。
予想していた、キモいと怖いが出ない。
3つめは展示室いっぱいに広がる作品。
いきなり出たことばが
「何かを求めているよう」
「何を?」
「家族とか。。。。」
もはや、○○みたいという発言はなく、
よく観察した上で、助けを求めているようだとか、背負っているものがあるとか、
上からぶら下がっている作品との関連性から
飛び上がって別世界へ逃げていくストーリーや、
あるいはそれがえさで、捕まえて、苦しんでいる仲間に施そうとしているなどのいろんな物語が
子どもたちによって紡がれていく。
次々に発言。手を上げてもらって、順番に。。。
別のグループも熱心に鑑賞
大人グループ1(ファシリテーターおじゃさん)
大人グループ2(ファシリテーターまっつんさん)
子どもグループ2(ファシリテーターミミさん)
自由に感じたことを話し、受け止め合える。
正解がない作品だからこそ深まり、おもしろい。
あっという間に45分が経ち
「え?もう終わり?」
「もっと観たい」
多目的ホールにもどって、作品の振りかえり。
大人も子どもも一生懸命言葉を書きます。
それを作品のコピーの周りに貼り、お互いの言葉をまた、味わいます。
壁一面に貼られた作品に言葉が寄せられます。
ほかのグループもかなり深く対話が重ねられたことがそこから読み取れました。
担当学芸員の福島直さんの挨拶の後・・・
そして、最後にシークレットゲスト。
真島直子さんご本人の登場!!!拍手と歓声があがり。。。
質問タイム。
何で?どうやって作ってるの?
の質問に、素材の話から作り方・・・・私が着ていたものを切ってねと、
着ているものを脱ぐジェスチャーにみんなの笑いも生まれました。
「なんでぬれてるの?」
「接着剤でね・・・」
「どうして、ぬれているようにしたの?」
たたみかける女の子の質問に、ぬれている、湿りけがあるというのは生きているということなの。
死ぬと乾いて、骨から離れて・・・
私は生きているという感じが好きなの。
真島さんはその子のそばに寄ってきてよくわかるように言葉を選んで説明して下さいました。
生きることとともに病気や、死があり、それがあたりまえであること。
だからこそ生きてるという感じが好きだということ。
真島さんのいろんな言葉を聞いてさらに興味と理解が深まりました。
もう一回観たい!
もう一回観たい!
終わってからもう一度展示室に行った子たちもいました。
子どもたちにとって、きっといいから!の気持ちのままに突っ走る私を
がっちりサポートして下さった
学芸員の福島さん、
ファシリテーターの皆さんのボランティア精神と高いスキルがあってこそ実施できました。
また、福島さんのお声かけでわざわざお越しいただいた真島直子さん。
心から感謝の気持ちでいっぱいです。
後日参加者から、
*対話することで第一印象と真逆のとらえ方になった。
*気づかないことに気づいたり、いろんな角度で観られた。
*こどもがそのあと食べたチョコミントアイスの感想をとても上手に言えた(笑)。
*むすこが大満足でその日の日記に4ページも感想を書いていた。
*回数を重ねるごとに子どもの感性が育っているのがわかる。
*どんな意見を言っても大丈夫とわかって、安心感の中、過ごせた。
*終わったあと、別グループで鑑賞していた子どもと会話がたくさんできた。
*どろどろしたところも生きているってことなんだねと、子どもが話し、学校や、家庭ではできない貴重な時間。
など、うれしい報告をいただきました。
今までのアトリエmadoが主催してきた対話型鑑賞会はこちらをご覧下さい。