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「VIVID銘仙」 おしゃべりしながらの鑑賞会 @足利市立美術館

「VIVID銘仙」 7回目の対話型鑑賞会 @足利市立美術館 2016.11.26

20世紀前半に流行した銘仙という着物。奇抜ともいえる斬新で自由な色とデザイン。

かわいい!きれい!だけではない銘仙の魅力におしゃべりしながら楽しんで理解を深めようという

今回初めての大人向けの鑑賞会です。

アンティークきものを扱う足利の「うさぎや」の大竹麻実恵さんとアトリエmadoのコラボ企画です

美術館の「着物の方は入館無料」という計らいのおかげで、たくさんの方が着物でご参加いただき

展示の着物とあいまって、美術館内は別世界のはなやかさです。

今回もファシリテーターはARDAでともに研修を受けたメンバーで、さとうじじろうさんと吉野園子さん。

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だれよりも赤黒の銘仙が似合いそうな園子さんです。

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今日は着物がお似合い、ダンディじじろうさん。 (いつもは子どもに人気でじじろうと呼び捨てにされるw)

この大胆な柄はロシアアバンギャルドの影響を受けてるのでしょうか?・・・・。

袂が短めで丸いから、豪奢ではなく、活動的な印象です。などと意見が聞こえてきます。

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私が担当したグループでは、まず小学生から、水?川?とんぼかな?と柄を見て言葉が出て

詳しい方から、戦争前には勝ち虫と言われるとんぼがもてはやされたこと。

単衣ですから、涼しげな柄で夏向けですね・・・機能的なことに話がおよびました。

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それぞれのグループに分かれて、熱心に意見を交わしながら鑑賞されています。

うさぎや」大竹麻実恵さんの解説で実際の着物を見ながら

伊勢崎、秩父、足利の産地について、半併用、併用という絣の技法の特徴を理解しました。

麻実恵さんの熱がつたわってきます

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今回の鑑賞会は

参加者は、小学生から80代の方まで、関西など遠方から来られた方もおられました。

また、デザイナ−、アーティスト、着物愛好家、着物関係の仕事をされてる方。

着物はわからないけど、対話型鑑賞に興味がある方々・・・。

銘仙は、開国以降、第二次世界大戦へと激変する日本社会と密接に結びつきつつ

アバンギャルド、アールヌーボなど、世界的流行に影響を受けたデザインで、

その上、織り方の違いや特徴もあります。

このように、いろんな立場の参加者といろんな切り口がある銘仙の鑑賞会。

いろんな意見が出た分「対話」や「深まり」にする難しさを感じました。

せっかくそれぞれの専門家が来られてるのだから、もっとみなさんの知識や経験を引き出し、シェアするべきなのでは?

鑑賞会中、もやもやしていました。

最後に、金久保茜さんにお話していただきました

京都で365日着物で暮らし、着物振興に携わっておられるだけでなく日本文化にもとても造詣が深く

早稲田大学などをはじめ各所で講演されているので

友だちなのをいいことに、なんか話して下さい〜、と無茶ぶりで、締めくくっていただこうというたくらみでした。

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茜さんは、ぐるっと、着物を眺めながら

「ここに展示されている、どの着物もそれを着た女のひとがいたこと。

たくさんの反物の中から似合う色を選び

裁ち方や裏地の色を決めて仕立て、ウキウキしながらオシャレを楽しんだはず、

どんな帯を合わせて、どこへ行こう?ってワクワクしながら考えた当時の女性たちの様子を想像してみて下さい」

ああ!この茜さんのことばを聴いて、すとんと腑に落ちました。

今回なぜみんなで鑑賞会やりたかったのかをあらてめて思い出しました。

私は理屈抜きに着物が大好きで、芸術作品でありつつも、衣類としての側面を持つ着物を

織り、柄、色、季節感、素材、時代性、着る人の年齢や用途、制作側の手間や技など、

いろんな切り口からそれぞれに感じたことをワイワイおしゃべりしながら楽しみたかったのでした。

各参加者から、専門的な知識を十分に発言していただけなかったかもしれないけれど

着物としての銘仙はみんなでたっぷり楽しめて、また麻実恵さんのおかげでかなり学んでいただけたと思います

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終わって、着物の姿の皆様とたくさん写真をとりましたが、ここではファシリテーター3人組で。

対話型鑑賞会の成功はファシリテーターの力量にかかっていると言っても過言ではありません。

高いスキル持ち、尚、研鑽を続けている素晴らしいファシリテーター

毎回アトリエmadoの鑑賞会にご協力下さいました。

東京、神奈川からスケジュールを調整して駆けつけ、

ボランティア精神でよりよい鑑賞を、と心を砕いて下さることに心から感謝の気持ちで、いっぱいです。

今までの対話型鑑賞会はこちらをご覧下さい

第1回 ブラティスラヴァ世界絵本原画展

第2回 江戸へようこそ。浮世絵に描かれた子どもたち

第3回 舟越桂展「私の中のスフィンクス」@館林美術館

第4回 「画家の詩、詩人の絵」

第5回 高島野十郎展

第6回 前田真三と現代日本の風景写真展

またご協力いただいた足利市立美術館、あしかが対話型鑑賞の会に感謝いたします。

(2016年度は、アトリエmadoの鑑賞会は、あしかが対話型の会にご協力いただき、メンバーとして開催していましたが

現在退会し、鑑賞会はお休みしています。今後形を変えて、開催できたらと、考えています)

#対話型鑑賞#VTS #対話による鑑賞会