アトリエmado

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第3回目 madoの対話による鑑賞会。舟越桂「私の中のスフィンクス」展@館林美術館

大好きな舟越桂さんの作品で、対話による鑑賞会をしたら、素敵だなあ。。。

との思いがありがたいことにとんとん拍子で現実となりました。

第3回目 アトリエmadoの対話による鑑賞会「よ〜く観よう。いっぱい話そう」

11月29日「舟越桂 私の中のスフィンクス」館林美術館にて開催されました。

この「対話による鑑賞法」というのは、グループにわかれて、まずじっくり作品を観ます。

そして、感じたこと、気づいたことなどを、ファシリーテータという、司会進行役と一緒にお話しながら

理解を深める方法で、NY近代美術館で、開発されたといわれてます。

ファシリテータは、私も研修した、ARDA(芸術資源開発機構)の対話型鑑賞研修会、おしゃべりゴッホの強力メンバー。

今日も東京、神奈川から一番電車で来て下さいました。

1回目と2回目の鑑賞会はこちら↓

http://atoriemado.blog72.fc2.com/blog-entry-224.html1回対話による鑑賞会「ブラティスラヴァ世界絵本原画展

第2回対話による鑑賞会「浮世絵に描かれた子どもたち」

鑑賞会にあたり、

問題はマティスなどの裸婦のスケッチなどでさえ「エロい、きもい、そんなの見せないで」と言う子どもたちに、

展覧会の後半の裸体像をどのように見せるか、あるいは、見せないかということでした。

何度か美術館に足を運び、作品を観るにつけ、どうしても全体を子どもたちに見せたいけれど、

他の小学生の団体はキャンセルになってると聞き、

羞恥心や嫌悪感が伴わないように作品として理解してもらうためには細心の注意が必要だし

無理しない方がよいのかもしれないと思いました

ファシリテータや、長く学校の先生をされて今は館林美術館の教育普及を担当されている方、経験豊富な学芸員の方に相談して。。。

でも、結局は、私のよく知る子どもたちが、どのように反応するか考えてプログラムを決めることに。。。

さて、その計画がうまくいくのか、どきどき。

当日

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事前に鑑賞にきたファシリテータたちと、もう一度、入念に確認。

今回はアトリエmadoの子どもとその保護者で3つのグループに。

それぞれのグループで自己紹介のあと、絵のコピーを使って、対話による鑑賞の練習。

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気づいたことを自由に発言して、ファシリテータがそのことばを受け止めて次のことばを促す、

グループのみんなのことばを聞きながら、あらためてまた作品を見つめて考える。

正解、不正解はない、

根拠をもとに、自由に発言していい。。。

雰囲気がなごやかになったところで

展示室へ。

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子どもたちには、大人と同じ高さの目線で鑑賞してほしいという要望に、美術館の方はいすを用意して下さり、

前からも後ろからも、よ〜〜く、観る。

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おっと、下からも!

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朝ご飯を食べようとして、ネクタイが汚れちゃいけないから、肩にかけてるんだ。

え?ベルトじゃないの?

ベルトじゃないよ、だって、穴がないもの。

あ、後ろに何か、隠されてる。

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大人グループは

木の木目が見えてるから、マネキンぽくないんですね。

目の焦点が合わなくて悲しそう。

几帳面そう。なんで?

シャツを着ている感じから。デリケートな感じ。清楚。

内面を見せない冷たい感じ。他と交わらない。。。逆にいうと、強さを感じた

目玉は何で、できてるの?

どうやって入れたんだろう。次々ことばがはずむ。

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このぐるぐるは、悪いことして捕まったんじゃない?

でも、悪い人には見えないよ。

洋服を止めようとしてるのかな?おしりの形が変だよ。。。

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目線が下で、さびしそう。ハイライトの部分が木地の色でひかってて、生を感じる。

弾圧されて抑圧されてやる気を失ってる人だ。自己主張することができなくて無表情。

職業的には聖職者?え?モードっぽく感じるけど?

後ろをみると、閉ざされた秘密が隠されてるみたいでこわい

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作品のしたの穴に気づいて得意げな男の子、

うしろに回って、スカートが風で膨らんでる。

みんな、遠くを見ている。

それぞれの作品の木の肌に違いに気づいたり。

そして、この作品は右と左と表情が違う。こちらの側のほうがさびしそうと、発言した2年生の女の子

ほかにも書き切れないくらいことばが出て、

子どもたちには舟越さんの作品は、むずかしいかもと心配していたのだけれど

つたない言葉ながら本質を突いた発言が続いてファシリテータも驚いていた。

大人のグループはどんどん、内面に視点をむけた発言が増えていきました。

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それぞれのグループでたくさんことばを出ています

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初期の作品を3作品づつ鑑賞して、「結構、疲れますね〜」「こんなに集中して鑑賞したことないから」

わいわい言いながら

いったんワークショップ室に戻り、観た作品の振り返りの時間。

ここで、よく思いだしもう一度ことばにして書き出すことで、

鑑賞したことがより確かになる大切な時間

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自分のが書けたら、お友だちが何を書いたのかも見てね。

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ここでこの展覧会を企画された館林美術館の学芸員の神尾さんに質問して答えてもらう時間。

「どうして、みんな首が長いの?」

「どうやって、彫ったの?」

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そうして、いよいよ、後半のスフィンクスのエリアへ。

まぶしそうに目をぱちぱちさせている子もけれど、

集まって下さ〜い。。。

学芸員さんの神尾さんに解説してもらいながら全員で鑑賞。

裸体像がならぶ、子どもたちはどんな反応をするのか。

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どうしてスフィンクスなのか。

スフィンクスが出したなぞなぞに、答えようとする子どもたち

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スフィンクスの口にバッタが入ってる作品について、バッタをかんだらどんな味がするかな?

神尾さんの質問に子どもたちは思い切り顔をしかめてる。

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目のところをよく観て下さい。。。

神尾さんの解説はすばらしかった。。。終始、前半鑑賞したことを大切に肯定しつつ、

見方を限定することなく、子どもの目線にたって丁寧でとてもわかりやすい言葉で語られているのに

大人でもなるほどと

納得できる深いところまで伝わってくる。

作家さんはこんな風に言ってましたよと。。。

子どもも、大人もとても理解が深まりました。

振り返りを載せておきます。

読めるでしょうか。。。

作品{冬の先触れ}に寄せられた感想で「さびしそうな顔をしていました。(びょうきかな。)と思った。

さいしょはふしぎな人だと思いました。でもかわいそうな気がした。(やさしい人かもしれない。)と思いました。

作ひんをつくった人がすごいと思った」

2年生の女の子。ここまで、作品の内面を味わえるとは。。。

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終了後、美術館の方を含めて、反省会。

鑑賞上の注意のほか、

鑑賞会を重ねることによって、子どもたちの鑑賞力の向上が見られること、

対話による鑑賞と学芸員さんの丁寧な解説とともに鑑賞したことがとてもバランスがいいプログラムだったことなど

発言された。

あとで、わかったこと。。。

鑑賞会の時間が終わって、子どもがもう一度観たいと言ったのでと、

最初から全部観たんです。と言う方が何人もいたこと。

ポスターの写真が怖いから行きたくないと

行ってた子も。。。

胸があつくなった。

初めて美術館に来た子たち。

初めて彫刻というものを観た子たち。

いっしょにその場にいられた保護者の方々。

その人たちに言葉では伝えられないものを届けられたのではないだろうか。

舟越桂さんの作品の持つ力が何よりの説得力ではあるけれど

この機会をこころざしの高い方々と作れたこと、

ほんとうにこの人たちに対して感謝の気持ちでいっぱいになり、また次につなげていきたいと思った。