工房集で、アートディレクターをされている中津川浩章氏の講演会に行きました
以前、工房集に伺い(http://atoriemado.blog72.fc2.com/blog-entry-118.html)、
また、「生きる」という工房集の展覧会を観て、作品のあまりの素晴らしさに圧倒されてもっと知りたいと思うようになりました。
講演会では、スライドで、次々とたくさんの作品が映し出され、中津川さんが、その作品にまつわる話をしてくださいます
心をとらえて、ゆすぶられる何か・・・。
美しい、けど、美しいを超えた、強い何かを私は感じます。
この、「何か」がものすごく大切なこと・・・。
工房集の考えで障碍者ががんばってます!とか
スタッフのサポートなどが表にでないので気づきにくいけれど
個性的でインパクトの強い作品のかげには一人一人と、向き合い、サポートするスタッフとの方々とのリアルな生活が、うかがえました
美術的なクオリティーの高さにこだわるのではなく
(国内外で高い評価を得て、作家活動しているメンバーや作品がいろんなものに加工されて人気のメンバーもいます)、
必要性に導かれてやむにやまれず生み出されてくるもの表現されるもの。その世界観、想い・・を受け取ること
それが、ひとり、ひとりの存在の価値を認めることとして、とても大切にされているのがわかりました。
たとえば「にぎり」という作品。
障害が重く、にぎることしかできないメンバーに何ができるかとスタッフが考え
メンバーが紙粘土をにぎった形に台座をつけて作品とする。
その、ただ、握っただけのしろいかたちはうつくしく「生きて」いました
、
そうして、どの形はどのメンバーがにぎったか、スタッフはわかるという。。。
商品化に関しても、さまざまな魅力的な商品の形になる作品の一方で
過剰な力を入れて、膨大な時間をかけてできあがった一点物の織物は売らないで大切に保存される。
中津川さんの講演は、10年以上かかわった説得力と、
工房集のアートに接して理性と感性の葛藤があったことなどとても率直で
また、アートの専門用語は一切なく、とてもわかりやすく・・・
心が温かくなる、深いお話でした
生きている、存在していることの価値をしみじみ感じました。
ここに書いたのは講演のなかでもごく一部の話
工房集の思い。
中津川さんの思いが形になっているのは
最近つくられた工房集コンセプトブック
(是非、クリックしてご覧ください)
写真のうつくしさもですが、ほんとにふむふむ、なるほど~!!
いい内容です。
中津川さんのお話が終わって、意見をいう時間になり、メンバーの保護者の「今までわけのわからないものを作ってと、思っていたけれど、家族としてわからないなりに、理解しようとしたい」という言葉
そのあと、メンバーのひとが手を挙げて
「この頃、絵が描けなくなって苦しくてつらいけれど、今日の話を聞いて、これでもいいのかな。と思った。
ここに、いてもいいのかなと・・・。少しづつ変わっていけたらいいけれど、変わらなくもいいのかなと。。」
私は、涙があふれてしまった。
不完全で自己嫌悪に陥りやすい自分が、こんな存在でも許されてる気がして・・・
近くにいた人は声をころして、でもおえつを漏らしながら泣いていた。
後で聞いた話ではこのメンバーは前の施設で、あなたが来ると迷惑だといわれ個室に20年間閉じ込められて作業していたそう・・・今でも何かと、大変ではあるそうだけど、ずいぶん変わったという
最後、理事長がふつう何かを深めていくと、近づきがたくなってしまうものですが
このことは深めていくと自分に近づいてきますね・・と、おっしゃったけれど
人間の根幹にかかわる、共通のことに行き着くのだと思いました
講演会が終わって誘っていただきみなさんとランチへ。
この施設は、ほかで断られるほど重い障害の方を受け入れていたから
最初の運営はかなりきびしく、リヤカーで廃品を集めて資金にしてたよ
私の息子は大変で顔の痕跡がわからなくなるほど自傷行為があってとか
私が死んだらむすこはどうなるか心配で死んでも死にきれないから入所施設をみんなで力をあわせてつくったのよ
障害のこどもを支えきれず、その家族までもお世話してる
など・・・
なにも知らずちょこんと座ってしまった私には重すぎてびっくりな話を
スタッフや関係者のどなたも、多くは語られず軽やかに、しかもとても、うつくしい笑顔で話される
自分のことでいっぱい、いっぱいの私は、みなさんの崇高さに、また、びっくり。。。
さて、6月15日からアキイマサルファインアーツというギャラりーでディープインパクトという展覧会
6月7日から26日まで虹色という、ステンドグラスの展覧会
が開催されます。
楽しみです~!!